「webで何か」作るブログ

35歳という遅すぎるスタートをなんとかする為のブログです。基本的に自分にとっての役立ちメモ。

ファストアンドスローを読んだのでまとめておく(1)

2月、3月の二ヶ月間をかけて、「ファストアンドスロー」を読みました。 Tweetを遡ると、正確には1月の終盤に購入して読み始めていたようです。

副題にある「あなたの意思はどのように決まるか?」が示す通り、人間の意思決定の裏側にあるメカニズムを題材とした書籍で、一部ではUXのバイブルなどと言われてもいます。

当時の課題感として、マーケティング、デザイン、チームメイクの三つがあり、なるべく広範に活用できそうな知識を得たいな、と思って手に取ったのですが、2ヶ月間かかった事実が示す通り、まあ骨太な本でした。

読み終わってあまりに日が経ってしまうとなんなので、まとめておきたいと思った次第です。ただのサマリーなので面白みはないかもしれませんが、よければお付き合い下さい。

人の意思力は曖昧なもの

この書籍は、著者であるダニエル・カーネマンの疑問や実験、その結果や考察をひたすら紹介していく構成が取られています。そしてそのほぼ全ては、「人間の意思は外部要因によって操作されている」という結論に結びついていきます。

それぞれに名前がつけられているので、一つ例を挙げます。

イメージで歩く速さも変わる 「プライミング効果」

ライミング効果と名付けられた現象を扱う章では、何らかの刺激がその後の行動や意思決定に影響を及ぼすという事象をいくつも挙げています。

一例としては、以下のような実験があります。

  1. 同じ属性(年代)の被験者を2グループに分け、ランダムに単語が並べられたシートを渡す
  2. 被験者グループAのシートには老人をイメージするような単語が多く含まれている
  3. 被験者グループBのシートは老人をイメージするような単語はない
  4. シートの単語を利用して、指定の文章を作成する、という課題を双方に与える
  5. 課題提出後の歩行速度を調べる

老人を想起させるような単語が多く含まれたグループAは総じて歩行速度が下がる、という結果が出た、と書かれています。

そのほかにも、学校補助金の増額案に対しての賛成票を集めるケースでは、投票所を学校にした場合の方が圧倒的に賛成票が集まりやすいという結果も紹介されます。

これらの因果関係は心理学の領域でありまだまだ解明されていないのですが、人間は無意識下で情報を受け取り、影響を受けていることを象徴するエピソードです。

怠け者で疲れやすい上司(システム2)と短絡的な部下(システム1)

人の脳は異なる特性を持つ二つのシステムがあると著者は言います。文中では便宜上これらを「システム1」と「システム2」と呼んでいますので、ここでも簡単にその特徴を紹介しておきます。

システム1は直感的かつ高速に物事を捉え、常に動作しているシステムです。反対に、システム2は論理や塾考を担当し、システム1の依頼によって動作をするシステムです。

システム1の特徴は常時起動と高速思考にあり、基本的に物事を疑うことをしません。

「自分が見たもの聞いたものをそのまま受け入れる」が基本姿勢であり、役割としては周囲の情報を絶え間なく受けとり、怪しいものがあればシステム2へアラートを飛ばす、言うなれば見張り番もしくは短絡的な部下です。

システム1が用心深く、小さな異変も大きな異変も逃さず、全てを上手く自分で処理してくれれば良いのですが、実際にはそうは行きません。

表現方法で反応が変わる 「フレーミング効果」

システム1の短絡的な部分を表す現象に「フレーミング効果」があります。これは「不満足度10%」と書くより、「満足度90%」と書いた方が、反応はポジティブになるなど、表現や切り口によって印象が変わる現象を指します。

実際に数値は変わらないのに反応は変わってしまう。本当に人の意思は簡単に操作されているのだと理解できます。

システム1の効果で九死に一生を得た消防士

ここまでの内容だと、速い思考を得意とするシステム1が悪者のようですが、そんなこともありません。

システム1の反射的な思考によって命が救われるようなこともあります。ベテランの消防士のエピソードでは、ごうごうと燃え盛るビルの中に取り残された民間人をシステム1の特性によって救出した消防士のエピソードもあります。

救助活動中、床面から煙が漏れ出しているのを視界の端に捉えた消防隊長は、直感的に「床が崩落する」と感じ取り、周囲の人間を崩落の危険がない場所まで移動させました。

結果はその通り、移動が完了した数秒後にその場所は崩落しました。

膨大な経験値から即時に最適な答えをだす

例えば、刻一刻と状況が変化するような競技、格闘ゲームでもサッカーなどが例としては良いでしょうか。

これらの勝敗を分ける要素として、「判断の速さと正確さ」は間違いなく大きなウェイトを占めているでしょう。

選手は次に相手がどう動くという予測を元に自分がどう動く、という判断を下しているはずですが、その時には脳内でじっくり考えているのではなく、瞬時に行われています。

システム1は常時起動し、常に原因と結果をあるがままにデータベースに登録し続けているので、スピーディーな反応が可能なのです。

「疲れたからチョコレート」は正しい。意志力はブドウ糖でキープできる

堅苦しい話題が続いてしまっていますので、少し軽いネタで休憩しましょう。

疲れた時やもうひと頑張りしたい時、甘いもので休憩することがあると思います。

これはどうやら正しいことのようで、感情を抑え込んだり、難しい計算に取り組んだりという活動ではブドウ糖が消費されることと、ブドウ糖が尽きた状態では判断力や意志力がはっきりと低下するという実験結果が出ています。

ブドウ糖なので、ラムネが一番手軽で吸収も良いようです。一つカバンに忍ばせておくといいかもしれませんね。

 

といったところでいったん終わります。また続きを書きたいと思います。